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第1回
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あなたが普段なにげなく聞いているサウンドにも、まだ気が付いていない信号劣化の問題が潜んでいます。プロビデンスは、この信号劣化の防止に着目した製品を開発しました。それはイコライザーやエンハンサーのように特定の周波数を加工するのではなく、バッファーのように癖があるものではありません。本来のサウンドのまま、信号の劣化を防ぐ画期的なエフェクターVITALIZERです。
では、VITALIZERとは一体何なのか、どのような効果をもたらすのか。音楽専門雑誌のライター川上氏により、数回にわたって分かりやすく丁寧に解説していきます。
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第1章:ケーブルを繋ぐだけでも音質は劣化する!
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長いケーブルを使用したり、ギターとアンプの間にエフェクターやチューニング・メーターなどを繋いだ時、ギターのサウンドに劣化が生じるという話を耳にするが、意外に無頓着で自覚したことがないという人も多いのではないだろうか。同じメーカー/型番のケーブルで長さの異なるものを用意できる人は、この機会にサウンドの違いを聴き比べてみてほしい。
例えば1mのケーブルと10mのケーブルでは誰の耳にも明らかな音色の差異が生じる。耳の良い人なら、もっと短いケーブルを比べても違いが判るだろう。
また、エフェクターを使用する際、オフにした時でもケーブル一本でギターとアンプを直結した場合のサウンドとは異なってしまうことがある。
この連載企画を通じてVITALIZERの効能を説明する前に、まずはなぜこのようなサウンド劣化が発生するのか、そのメカニズムについて解説していこう。
ギター・アンプで増幅するために必要なレベルの信号を得、なおかつ魅力的な音色を生み出すために、伝統的なエレクトリック・ギターの出力信号はハイ・インピーダンスとなっている。
高いインピーダンスの信号を長いケーブルを通じて伝達しようとすると信号レベルの低下が生じ、音声の高域が劣化してしまう。信号レベルの低下についてはケーブルの距離が延びると抵抗値が増大することで発生するということは理解しやすいだろう。
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高域の劣化に関しては、ケーブルの静電容量(*1)がその原因となっている。静電容量はケーブルの内部で中心を通るプラス側の芯線とシールド線を兼ねるマイナス側に発生し、ギター本体のトーン・コントロール回路と同じ理屈で高域がアースへと流れてしまう。
この問題に対しては各メーカーがこの特性を改善したケーブルを開発しているが、現実問題としてはケーブルの構造と機能を満たす上で100%避けることはできないもので、長いケーブルを使用すると必然的に高域の劣化が発生してしまう。あるいは、ギターからの信号をロー・インピーダンスに変換すると改善することができるが、この場合でも長いケーブルを使用すれば、耳の良いギタリストならば感知できるほどの劣化が生じてしまうこともある。
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| ※1) 静電容量:コンデンサなどの絶縁された導体においてどのくらい電荷が蓄えられるかを表す量で、電気容量またはキャパシタンスとも呼ばれる。量記号はC、単位はファラド [F] 。例えばある物体に1ボルトの電圧を与えたとき、1クーロンの電荷を蓄えたならば、その物体の静電容量は1ファラドということになる。1Fという静電容量は非常に大きなもので、通常用いられる電子部品としてのコンデンサでは、1Fの100万分の1 (10のマイナス6乗) のマイクロファラド [μF] や、1兆分の1 (10のマイナス12乗) のピコファラド [pF] が多く用いられる。 |
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第2章:エフェクターを繋いだ時の音質劣化
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続いてエフェクターやチューニング・メーターを接続した場合の音質の変化について解説しよう。仮に5mと2.5m×2本のケーブルを用意し、ギターからアンプに直接繋いだ場合と、間にオフにした状態のエフェクターもしくはチューニング・メーターを接続した場合で音を聞き比べたとしよう。エフェクターやチューニング・メーターの機種によっては、あきらかな音色の違いが感じ取れるものがある。これはそれらにバッファー・アンプが内蔵されているために発生することが多い。
バッファー・アンプとは信号を増幅することなくロー・インピーダンスに変換するものだ。バッファー・アンプ回路を内蔵した機器を使用すれば、音質劣化が少なくなると考える人もいるかもしれないが、それは誤りである。
一般的なコンパクト・エフェクターやチューニング・メーターにバッファー回路が内蔵されている場合、その殆どはトータルなギター・サウンドを向上させるという目的よりも、前後にどんな機材が接続されても、電気的に問題なく動作させるためという理由で付加されているにすぎない。バッファー・アンプ回路が内蔵されていても、充分なロー・インピーダンスとはいえない信号が出力され、その後に長いケーブルを引き回すと高域劣化が発生してしまうケースもある。
また、バッファー回路が信号を増幅しないとはいっても、それを通ることによってサウンドに対するなんらかの色付けが発生してしまい、俗に“バッファー臭い"とも言われるクセが付いてしまうことも多い。"音質を考慮したバッファー回路を内蔵"と謳われる製品でも、ケーブルでのハイ落ちを補正するために高域を強調した音作りがなされていたりして、やはり音に色付けがされ、ケーブル一本だけで接続した場合の原音とは異なるものとなってしまうのだ。
試しにギターとアンプの間にボリューム・ペダルを接続すると、はたしてどの程度の劣化が生じるものなのか聴いてもらおう。
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Distortion Sound (Marshall JCM2000)
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これを嫌って最近のエフェクター等ではオフ時にバッファー回路を通らないトゥルー・バイパス・スイッチがトレンドとなっている。だがこれは結局はインピーダンスの問題は解決されていないので、その後に長いケーブルを使用すれば音質劣化が発生するし、複数のエフェクターを使用する場合、その内の一個でもバッファー回路内蔵のものを使用すれば意味がなくなってしまう。
だが、実際のライヴの現場では短いケーブル1本のみを介して直接ギター・アンプに接続して…というわけににはいかない。複数のエフェクターを使用し、長いケーブルを使用することになるわけで、ギターのサウンドは原音とはかけ離れたものとなってしまう。それだけでなく、ライブ会場によって使用するケーブルの長さが変わることも考えられるが、するとその度にギターのサウンドが異なるものとなってしまうという問題が発生する。これらの問題を解決するために開発されたのがVITALIZERである。
ケーブルとバッファー・アンプによって知らないうちにギターの音は変化していた…ということは理解していただけただろうか。これ以外にも、ボリューム・ペダルに関しても、音量を変化させると同時に高域も劣化してしまうという悩みを抱えるギタリスト/ベーシストは少なくなかった。
次回は実際にどのようなケースで、切実な問題としてVITALIZERのような機器が求められたのか‥‥。その現場での実状と、VITALIZERが開発されるまでの経緯を、開発者であるFree The Toneの林 幸宏氏の発言を通じてお伝えしよう。
(川上啓之)
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